オキシトシンで自閉症の治療ができるの? オキシトシンで自閉症の治療ができるの?

オキシトシンが愛のホルモン、抱擁のホルモン、信頼のホルモンだと研究が進んだことで対人関係に悩む人々の治療に生かせないか?という研究がなされてきました。その一つがオキシトシンによる自閉症に対する治療研究です。オキシトシンをどのように治療に生かそうとしているのでしょうか?

オキシトシンの研究過程でわかったこと

オキシトシンは1906年に子宮収縮や母乳を作らせるホルモンとして発見され、1953年にデュ・ビニョー氏らによる研究で9個のアミノ酸でできていることが明らかにされました。近年の研究によりオキシトシンに妊娠・出産以外にも男女ともに生成されることや、子育てをする際や男女の恋愛の際にも分泌され愛情・信頼といった大切なプロセスに作用することがわかってきました。そしてこの対人関係における必須となるホルモンが自閉症の方の場合は血中濃度が通常の人よりも低めであることがわかりました。

オキシトシンの自閉症の治療におけるメリット

自閉症では常同性、こだわり、パニックなどの他に、他者と目を見つめてコミュニケーションがとれないコミュニケーション障害や空想、フラッシュバックといった症状があります。オキシトシンはこの中のコミュニケーション障害に働きかけ、本人とその周囲の人との対人関係を円滑にする手助けになります。元々体内で生成されるホルモンであるため研究が進めば導入できるのではと期待されている点です。

オキシトシンのデメリットと問題点

自閉症は先天的・遺伝的な病気です。これまで根本的に治療する治療薬は見つかっていません。そのためオキシトシンの研究で得られた自閉スペクトラム症への症状改善効果は対人関係をうまく築けない彼らの治療に役立つものと期待されています。ただし、現在研究がなされているのは主に成人男性を対象にしたものです。オキシトシンが女性に作用する際に子宮収縮を促すような作用があるため、研究によって安全性が確立するまでは限定的な治療薬になる可能性もあるのです。また自閉症の研究薬として点鼻剤が存在していますが扱いが難しかったり、飲んだり食べたりという方法ではオキシトシンの作用を引き出せないという点もあります。

自閉症の症状の中でもコミュニケーションに関する分野には効果が認められましたが、それ以外の面についてはまだまだ研究が必要な段階です。それだけ人の思考や行動は複雑に絡み合って成立しているということの裏返しなのかもしれません。

Top